AERAの6月22日号で、「嫌婚の正体」と題する特集がされていた。「嫌婚」という用語が耳馴れず面白かったので、筆者も読んでみると、最近の婚活男女の方々の意見がよく理解できる内容でなかなか興味深かった。そこで、今日はこの特集について筆者の感想を述べたい。
まず、結婚に対する価値観の側面から「嫌婚の正体」に迫った「結婚はコスパが悪い」という記事には、なかなか結婚に踏み切れない男女数人の意見が述べられていた。1人は、キャリアアップを優先し、恋愛は後回しにしている「力み過ぎ型」の31歳の男性で、この人は、彼女は今すぐにでも欲しいし、結婚もしたいが、相手が見つからない(10頁)そうだ。
もう一例は36歳の女性で、「(彼のために)尽くしたけど、ダメになったとき手元に何も残らなかった。(中略)これほど無駄な時間はないと思った」そうだ(11頁)。さしずめこの女性は、「失恋トラウマ型無気力症候群」に陥ってしまったケースであるとでも言えるだろう。
また、別の40歳商社勤務の男性は、結婚相談所に頼らないと結婚できない自分が許せない(12頁)。この人は、「プライド肥大型」で結婚できないタイプと言えるだろう。
しかし、この御三方に共通しているのは、「嫌婚」という用語でその価値観を評価するより、むしろ「避婚」という用語で表現した方が的確に思われる。なぜなら、3人とも決して「結婚したくない」わけではなく、何らかの事情で「結婚に向き合えない」状態に陥っているに過ぎないからである。
関西学院大学社会学部准教授の鈴木謙介氏の記事中の分析によると、かつての女性の「玉の輿」のような「格差婚」が許容された時代から、現代は、パートナーの収入や容姿のような表面的価値のみならず、内面的な価値観やコミュニケーション能力のハードルまで自分と同等を求める「同格婚」の時代であるそうだ(12頁)。
そして、結婚は生活保障手段としての「必需品」ではなく、「嗜好品」になったという。だが、結婚が「嗜好品」ならば、それを結局獲得できないのは、つまり、生活に余裕の無い「つまらない人生」ということを意味しているのに他ならないのではないか。家族がいる安心感はほかでは代えられない(13頁)ばかりか、筆者にとっては夏休みに世界各地に家族旅行する楽しさだけでも、妻子を持つことのありがたさをしみじみ感じるのだが。
なぜなら、筆者が仕事の出張でハワイやラスベガスに旅行した時、いくら有名リゾート地で現地の関係者に歓迎されても自分1人では全く面白くなかったからである。やはり、海外旅行は家族で行くのが一番楽しいし、日々のストレス発散の絶好の機会にもなる。これこそが筆者の偽らざる実感であり、それだけでも家族を持つ価値は大いにあると思う。
ところで、この「結婚はコスパが悪い」の記事よりもっと面白かったのが、独身男子のホンネ座談会「できれば原石級の女性に出会いたい」という記事だった。
同座談会に参加したのは、30代後半から40代前半でなかなかの年収の独身男性4人(AさんとBさんは年収1千万円超、Cさんは年収約600万円、Dさんは約900万円)とのこと。記事によると、彼らの職業も見た目も特段欠点は無いようで、何で独身でいるのか不思議なのだが、記事を読んだところ、失礼ながら筆者の視点で分析しても確かに婚期を逃すタイプの男性達であった。
彼らが結婚できない原因について、個別に筆者の所見を述べてみよう。まずAさんは43歳の外科医で医者家系に育ち、彼女はいたものの、「医者の娘と結婚しろ」という親の猛反対を無視して彼女に結婚の意思を伝えた時には既に時機を失し、結局彼女に振られたとのこと。
彼のケースでは、彼女の方がそれほど彼に魅力を感じていなかったと筆者には思われる。この記事の後にCさんとDさんが指摘しているように、婚活中の女性は通常複数人の男性を結婚パートナーの候補者リストに入れており、その間にシビアな序列を付けている場合がほとんどだ。もしAさんが彼女にとって序列第1位の候補者だったならば、もう少し待ってくれたかもしれない。しかし、相手の親の猛反対は後々の面倒事を考えると、結婚相手とするには痛い。恐らくそういう所が、Aさんが婚期を逃した根本原因だろう。
Aさんは既に43歳の年齢に達しており、いくら年収約1500万円の外科医でも、子供の大学卒業までの時間を考えると結婚相手の女性は簡単には見つからないはずである。
次にBさんは地方出身者で、長男だから地元の人と結婚しろと親戚から言われ、東京でできた彼女よりもコンサルティング会社で昇進直後の仕事を優先したために振られたそう。この人の場合、筆者には優柔不断過ぎると感じられる。筆者ならば、仕事と彼女の両方ゲットを当然目指す。Bさんは、昨今多い草食系男子の走りと言えるタイプなのかもしれない。
Cさんの場合、38歳にもなって母親と同居しているのが決定的にまずい。親より彼女を優先しなければ、そもそも結婚できるはずがない。
Dさんは原石級の女性に出会いたいそうだが、そんな曖昧な指標を掲げているようでは現実的な婚活女性達に敬遠されるだけだろう。彼は、合コンで「年収どれくらい?」と直球で聞く女性に引いてしまうそうだが、婚活中の男性サイドも女性の容姿と年齢をシビアに見定めているのだから、口にこそ出さないまでもこうした条件提示はお互い様である。Dさんはナイーブ過ぎて婚期を逃してしまうタイプであると、筆者には思われる。
いみじくも記事の最後の方でBさんが述べていたように、結婚適齢期の「30代前半の女性は婚活が業務的!」というのが実態なのである。その程度の女性の合理的思考にショックを受けているようでは、彼らはなかなか結婚できないだろう。
0 件のコメント:
コメントを投稿