2015年8月24日月曜日

新婚旅行で初めて海外に行く人へのお薦めリゾートは、ホノルルかラスベガスか?

 筆者はこの夏、20年ぶりにラスベガスに家族旅行で行ってきた。妻の会社の後輩さんが新婚旅行で、この11月にラスベガスに行くそうである。そこで、今日は新婚旅行の訪問先としてのラスベガスについて、筆者の家族旅行における感想も含めて私見を述べてみたい。

 まず前提として考えなければならないのは、妻の後輩さんとそのご主人は英語が余り堪能ではないという点である。つまり、彼らがラスベガスまで米国内便を乗り継いで無事到達できるかどうか、多小の難関が待っていることを最初に指摘して置かなければならない。

 日本からラスベガスに行くには、通常ならロサンゼルスかシアトルあたりのアメリカ西海岸の都市を経由して米国内線を乗り継いで行く必要がある。羽田から深夜発の飛行機で行くことが出来るのは利点であるが、ラスベガスへの直行便は無い。その上悪いことに、アメリカはテロ対策を考慮してか、まず乗継地でバッゲージを受領して入国審査を通らなければならない。これが日本や欧州と比べると(イスラエル入国審査程ではないが)、とてつもなく時間がかかるのである。

 なぜならアメリカの入国審査では指紋や顔写真を採取される上、事前にESTA(電子渡航認証システム)を1人当たり14ドル、クレジット・カードで支払って登録していたとしても、審査官から様々な質問を浴びせられるからである。英語が苦手な場合、まずここで出鼻を挫かれる羽目に陥るだろう。

筆者の家族旅行のケースでも、90分の乗り継ぎ時間では危うくシアトルからラスベガス行きの国内便に乗り遅れるところだった。欧州便と比べてアメリカ便は日付を跨ぐので、10時間以上のフライトでは時差ボケも相当きつい。ハワイ便は、フライトがそれ程長時間では無いことが良い点だ。ビジネスクラスで行くならともかく、新婚旅行ではフライト時間と時差ボケの疲労度も極めて重要な要素と言えるだろう。

 次に、ラスベガスは街全体が楽しい一種のテーマパークであるが、ホテルのレセプションが常に長蛇の列を成していて、チェックインやチェックアウトでは下手をすると30分待ちが当たり前だ。これはラスベガス中心部(ストリップ)のホテルがほぼ例外なく大規模カジノホテルで、桁違いの人数のゲストを(特に週末に)泊めているためだ。新婚旅行の場合、長時間の待ち時間は興醒めであろう。英語が不得手な旦那さんの対応に、奥さんが切れる可能性も高まりかねない。

チェックアウトでは時間がかかる上に、リゾート・フィーという意味不明の追加料金の支払いも要求される。ホテルの室内は客を寛がせずカジノに直行させるため、多くの場合コーヒー・メーカーも用意されていない。但しホテルはとても大規模なので、必要な設備はどのホテルでも大体揃っている。歩いて部屋に辿り着くまで非常に時間がかかることが多いのが、逆に欠点である。英語でスタッフに尋ねることが出来ないと、ホテル内で迷子になりかねない程だ。

 第三にホテルのバフェ(ビュッフェ)も含めて、食費が非常に高い。夕食では、1人当たり30ドル以上はまずかかってしまう。安上がりに済ませるには、ホテルやショッピング・モールのフード・コートを利用するか、ドラッグストアかハワイにもあるABCストアでサンドイッチやサラダを買う手もあるが、それでも110ドル以上は費やしてしまう。日本国内のコンビニに比較すると、極めて割高な値段である。ちなみにミネラル・ウォーターも1リットルのペットボトルが2ドル以上はする。日本で言う所の350ミリリットルの缶酎ハイや缶ビールが34ドル位で、これも昨今の円安では懐が痛む値付けと言えるだろう。

 ラスベガスの良い所は、グランド・キャニオンなどのアメリカ大自然に日帰りの現地ツアーで簡単に参加できることだ。ただし、ホテルの時計がサマータイムに設定し直されていないことが多いから、夏に行くとツアー集合時間を間違える危険性が大いにある。こういうところは、アメリカのホテルは日本のホテルに比べると非常にアバウトだし、全てゲストの個人責任にされホテルは一切補償してくれない。

ちなみに、ラスベガス便はよく遅延や欠航するので、その点のリスクも十分計算に入れておくべきだろう。日本帰国が1日遅れ、羽田から出国したのに成田に帰国させられる羽目に陥ることも有り得るのだ。したがって、会社の休暇は、当初の予定より1日か2日は余分に取っておいた方が無難である。

 以上のラスベガス旅行における難点は、ハワイの特にホノルル旅行ではほぼ考慮する必要が無い。英語が苦手な日本人でも、ホノルルならばラスベガス同様入国審査に時間がかかることを除外すれば、さほど初海外旅行の困難は感じないだろう。夏ならば海水浴もできるし、ラスベガスと同等程度にショッピングも楽しめるから、新婚旅行ではやはりハワイのホノルル行きが絶対にお薦めだろう。

ラスベガスなどアメリカ本土は、初めて海外旅行に行く日本人にとっては総じて難易度が高いと筆者には思われる。テーマパークのようなアメリカ的なまがい物感も、人によって好みが分かれる所ではないだろうか。

逆に新婚旅行で行くなら、むしろパリやウィーン、プラハなどのヨーロッパの諸都市の方が、重厚な音楽や文化の伝統に触れることが出来て良いのではないかと筆者は感じる。ただし、最近の欧州はイスラーム過激派などのテロが起きるリスクが否めないこと、そしてスリや置き引きなどの軽犯罪に常時気が抜けないこと、屋外に余りトイレが無いこと(有れば、利用に際してチップを払わなければならない)、水を買うドラッグストアやコンビニが殆ど無いことが、ヨーロッパ旅行に際しての難点と言えば言えるかもしれない。

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