2015年5月28日木曜日

東大野球部94連敗の原因は、少子化による私大の推薦入試拡大にある。

 5月23日、東京六大学野球で94連敗を継続していた東大野球部が6対4のスコアで法政大学を破り、連敗をストップさせたことがNHKなどのニュースで報じられた。

 単なる1大学野球部の連敗ストップがニュースで大げさに報じられる日本も暢気なものだが、実は東大野球部が94連敗もするようになったのは、93年以降顕著になった少子化と私立大学における推薦入試拡大の影響であると思う。

 学校基本調査(文科省)のデータによると、92年のピーク時205万人(団塊ジュニア最終世代)であった日本の18歳人口は、93年以降一貫して減り続け、2008年以降は概ね120万人前後で推移している。東京六大学野球で言えば、東大とともにスポーツ推薦を実施していなかった立教大学が「アスリート選抜入試」を開始したのも、奇しくもこの2008年からである。

 自分も早大出身なので80年代から六大学野球をたまに見ているが、80年代90年代の東大野球部は現在ほど連敗していなかった。野球自体のレベルは当時もお粗末で、むしろ今の東大の方が投手力は改善されたようにも思える。

 ではなぜ、現在の東大野球部が94連敗もしてしまうのかというと、誤解を恐れずに指摘すれば、早慶立3大学がスポーツ推薦を強化したためであろう。90年代までは、立教はもちろん、早慶両大学もさほど野球部を強化していなかった。当時も法政大学と明治大学は甲子園組を大量に補強していたと記憶しているが、早慶の野球部では甲子園組は数人程度で、主力は地方の公立高校か付属および係属校出身者であった。

 そのため、戦力で劣る早慶立は法明両校にいつも苦戦していたのであるが、早大が所沢で、慶大がSFCと付属高校でそれぞれスポーツ推薦を強化し始めると、法政と明治のそれまでの優勢は崩れ、早慶戦で勝ち点を挙げた方が優勝というケースが増えたのである。今回法政が東大の連敗記録をストップさせた事実から推測されるのは、かつての法政野球部の優位が完全に失われて、東大を除いた5大学の戦力がほぼ均等になったことである。

 現在では、立教野球部も甲子園優勝クラスの強豪私立高校出身者が増えている。したがって、いまだに県大会3、4回戦レベルの進学校野球部出身者しか入部してこない東大野球部が、以前より連敗するのはむしろ当然であろう。最近は、他の5大学との戦力差が開き過ぎている。

 自分の印象としては、東大野球部は打力が弱いのは仕方がないにしても、投手の与四死球と野手のエラーが多く、それで自滅して試合を壊して敗戦という悪循環が見て取れる。

 東京六大学野球のサイトでデータを確認してみたところ、確かに25回から40回程度の投球回数がある各校エース・ピッチャーの防御率も与四死球も、東大が最下位であった。ちなみに打撃成績20位以内に東大の野手は1人も入っていない。

 ではどうするか。現在の状態を放置したら、東大野球部はまた5年間90連敗位しかねないだろう。そこで、最近東大が取り組み始めた留学生拡大「世界から人材の集うグローバルキャンパス」の施策を利用して、アイビーリーグやキューバから身体能力に優れた留学生を招聘することはできないだろうか。

 自分の見るところ、大学野球はプロ野球と比較すると打力が非常に貧弱である。東大以外の5大学のクリーンアップを打つ野手でも、プロ野球に進んで1軍でホームランを量産できそうな選手は滅多にいないと思われる。

 したがって、東大野球部がクリーンアップを打てる外人助っ人2人とキューバあたりの投手1人を補強することができれば、十分他の5大学の戦力に対抗できるだろう。もちろん、学力要件を限定する必要があるだろうが、東大野球部を国際化するというのも強化の有力な一案ではないだろうか。

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