2015年5月29日金曜日

NHKおはよう日本5月28日、「不登校の子ども “つまずき”を補え」の感想

 昨日の朝のNHKニュースで、発達障害の不登校児への取り組みの一部が紹介されていた。紹介されていた子供たちは、うまく字が書けない「書字障害」などがあって確かに発達障害なのだが、絵画能力が優れているといった「能力が突き抜けて偏っている」ため、普通の学校生活になじめないタイプの子どもたちであった。

 同様のタイプで有名な人物は、トーマス・エジソンだろう。エジソンの場合、算数教師の教えた「1+1=2」に納得できず、「粘土の塊1個と1個を合わせれば1個のままだから、1+1=1だ」と主張して教師から「脳が腐っている」と言われたため、小学校をわずか3か月で中退して家庭で勉強したそうだ。

 古代ギリシャの数学者エウクレイデスの『原論』は初等幾何学の名著として有名だが、その第7巻から9巻は数論で、その冒頭で、1をただの単位として(自然)数と見なさず、数は2以降とする旨が定義されている。

これは古代ギリシャ特有の幾何学的発想による自然数論と言えるが、さしずめエジソンも、エウクレイデスと同様に1を自然数と見なしていなかったのかもしれない。そうだとすれば、エジソンの発想は非常に幾何学的だと言えるだろう。

凡庸な小学校の算数教師には、エジソンの古典的発想が恐らく自分の理解の範疇を越えていたため、序数や個数として教条主義的に自然数を教え込もうとしたのだろう。そういう頭の悪い算数の先生は、確かにいる。

 エジソンのケースは発達障害ではないかもしれないが、知りたがりの粘着質が教師から疎まれたのだろう。こういうケースでは、確かに親が無理に子供に対して登校刺激を加えず、家庭学習に専念するのも有効だろう。このような一種の天才型の子どもには学校教育に依存するより、生来の偏った興味分野を伸ばしてやれば、後日優れた業績を上げるかもしれないからだ。

 「おはよう日本」で取り上げられていた子供たちも、東大と日本財団が始めた教育プロジェクトに選ばれた15人の発達障害タイプの小中学生で、いわばエジソン同様の可能性を秘めた子どもたちである。こうした一芸突出タイプの不登校児童への対処は、むしろ容易であると言えるだろう。

 本当に多い不登校の契機は、文科省の調査では、「無気力」タイプ(中学生で約26%)と「不安など情緒的混乱」タイプ(中学生で約25%)である。学校でのいじめや嫌がらせによる不登校がよく話題になるが、実はこの2つのタイプだけで、子どもの不登校原因の半数以上を占めている。

 子どもが「無気力」で不登校に陥った場合には、親や担任教師が、むしろ積極的に子どもに登校刺激を繰り返し加える必要があるだろう。発達障害児の場合とは、まるで正反対の対応が必要と思われる。

 最も対応が困難なのが、「不安など情緒的混乱」タイプでの不登校だろう。これは優等生が何かに挫折して不登校に陥ったケースや、情緒の未成熟や甘えと依存など多様な原因に基づく不登校の場合であり、自己嫌悪から摂食障害や自傷行為に走る危険もある。

 実は知人の姪に、このタイプの高校不登校の女子がおり、その子は両親が学校の先生なのだが、地元ナンバー1の公立進学校に入学したにもかかわらず、もう1年以上も摂食障害で学校に通えない状態である。勉強で躓いたか、本人が内面に何らかの精神的葛藤を抱えていることは事実だろうが、その自我が十分に確立されて成熟した大人に成り切るまで、有効な手立てが見つからないようだ。

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