安倍政権は、朝型勤務を国全体に浸透させたいという趣旨で、国家公務員の今夏の始業時間を、通常の午前8時30分から9時30分であるところを、午前7時30分から8時30分に1時間早めることを通達した。しかし、この決定は国会待機という悪弊を止めない限り、ほとんど実効性が無いだろう。
それと言うのも、国家公務員が深夜まで残業をしている理由の半分以上が、国会議員の質問対応のために待機を強いられる、いわゆる「国会待機」に起因しているからである。
現状の国会議員は、国会での質問内容を前日夕刻のぎりぎりになって官庁に通告してくることが多い。特に野党議員ではそれが顕著である。今の国会審議は、本音を言えば、野党議員の質問に対して閣僚が各官庁の官僚が作成した答弁資料に基づいて回答するだけの言わばセレモニーと化している。そのため、実質的には官僚が作成する答弁書作りが、国の政策を運営する上で本質的に重要な意味を持っているのである。
その結果、国会議員からの質問内容の通告が遅くなればなるほど、担当の官僚は嫌でも残業せざるを得なくなる。前日夕刻になってようやく質問内容が通告されたとすれば、直接間接を問わず、関係部門の多くの国家公務員が、深夜まで閣僚の答弁資料作成にその時間を費やしてしまう。
それにもかかわらず、国家公務員たちに翌日「1時間早く出勤しろ」というのは、はっきり言って無理筋の要求だろう。ただでさえ無意味とも思える残業で疲労困憊しているのに、早朝出勤で国家公務員たちがさらに疲れを溜めることに成りかねないからだ。
まず、日本固有の悪弊である国家公務員の「国会待機」を止めること、これが朝型勤務を日本に定着させる上での最優先課題と言えるのではないだろうか。
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